臨床検査科 生化学検査
病院で採血したことはありますか?採血して診察まで少なくとも1時間は待たされませんか?中には待ち時間が長くてイライラされたことがある人もいるかもしれません。採血してから結果が出るまでに、どんなことをしているか説明します。
検体の流れ
-
①目的に合った採血管に採血し、しっかり凝固するまで静置します。
個人差はありますが、3~5分かかります。
-
②1分間に3500回転させ、7分間機械で回します。
-
③遠心力により血球成分(赤血球など)と血清成分の2つに分かれます。
検査には、血清部分を使用します。
-
④測定装置へ
測定には約15分かかります。
血清の見た目はいろいろあります。

【普通】
普通は黄色の透明です

【溶血(ようけつ)】
赤血球が壊れてしまった状態で、本来のデータよりも高値になる検査項目があるため、再度採血します。
溶血を起こす原因は、病気によって起こることもありますが、採血の手技の影響で起こることがほとんどです。

【乳び(にゅうび)】
食後に時間をおかないで採血した場合は、脂肪があまり分解されず血液中に残り、その脂肪分が白くみえるため白濁して見えます。
乳びは健常者でも見られ、食後徐々に上昇し、4時間でピークとなり、以後低下します。しかし、食後かなり時間をおいて採血しても乳びすることがあります。この場合、高脂血症などの脂質異常症が考えられます。
生化学検査とは
血清中に含まれているタンパクや酵素、脂質類やミネラルなどの成分を測定します。
身体に異常がある場合、これらの成分は通常範囲を超えて増加したり減少したりします。
調べたい臓器によって検査項目は異なります。その為、これらの成分を測定することは病気の存在を知る上で重要です。
また、病気の状態により検査項目を組み合わせることで病気の診断・治療・予後の判定に役立っています。
血液以外にも、尿や髄液、胸・腹水も同様に検査しています。
主な検査項目

肝機能検査
肝臓と関係のある検査の総称
機能障害の程度を示すものや、病態を反映するものもあります。
項目:AST(エーエスティ)、ALT(エーエルティ)、γGTP(ガンマジィティピィ)、T-BIL(総ビリルビン)、ALB(アルブミン)など

腎機能検査
生体内で生成された老廃物の処理、および水、電解質、PHや浸透圧の調整に大きな役割を果たしている腎臓の検査
項目:CRE(クレアチニン)、BUN(尿素窒素)、UA(尿酸)、電解質など

脂質検査
高脂血症の診断基準となる検査
項目:T-CHO(総コレステロール)、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、TG(中性脂肪)など

糖尿病検査
糖尿病の診断やコントロール指標となる検査
項目:GLU(血糖)、HBA1c(ヘモグロビンエーワンシー)など
推定1日塩分摂取量検査(EDSI)
減塩は「高血圧」の予防や治療に大切です。随時尿だけで測れる検査です。